とまとの成る木

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2012年 09月 15日

バターとアンチョビのスパゲティー

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今からちょうど20年前、私がこの国に来た頃には、ローマ以南には信号というものが無かった。正確にはローマより南の街を訪れたのはそれからかなり経ってからであるが、その時でも信号というものにお目にかかったことが無いので、あの頃も無かった、と言い切れると思う。

イタリアで運転を覚えると、世界中どこに行っても怖いものなし、とはよく言われるが、あの頃のイタリア、特にローマの交通事情はまさにそうであった。信号が無いものだから、交差点では、優先権は、速い者に与えられていた。出た者勝ち、である。それが自動車であっても、歩行者であっても、皆平等であった。勿論、規則というものは存在していたが、それを無視する、というのとはちょっと違い、実際の路上では臨機応変に対応する、と言った方が正しい表現だと思う。

当時は今よりずっとポンコツ車が多かったから、スピードも今に比べてかなり遅い。例えば歩行者が道路を渡ろうとしたら、5m先に横断歩道があっても絶対に利用しない。自分で適当に時を計って渡る。渡り始める前に歩道の端で車が来なくなるまで待つ、なんてことは決してしない。ほとんどの人は、歩く速度など絶対に緩めずに車と車の間を縫うようにしてさっさと渡ってしまう。車の方も歩行者の歩く速度を計算して、ちょっと速度を緩めたり、歩行者の後ろを迂回して進んだりして、決して停止などしない。停止すると後ろの車からクラクションを鳴らされる。車と人がうまい具合にたわむれて動いてる感じ。私もその横断方法はすぐに覚え、日本に時々帰省した時にはかえって戸惑ったものだ。

ところが、ジュビレオ、2000年祭の頃から、少し変わってきた。

その頃から、ローマの街の中心街で、通行規制が厳しくなった。それまでも平日6:30-18:00、乗用車が入れない地区があったが、単なる看板だけで、お巡りさんがいない時は、無視してみんな通り抜けていた。ところがそれぞれの入り口に電光板とカメラが設置され、それまでもお巡りさんがいて、黙視、あるいは見落としなどがあったものが、家に直接7000円程の罰金請求書が届くようになると、流石に規制が守られるようになった。街のあちこちに信号ができ、特に年中観光客で溢れている街なので、押しボタン式の歩行者用信号があちこちにできた。

外国人にとってはまさに嬉しいことであったが、地元の人たちにとってはちょっと厄介なことに。それまでは「歩行者を横断させるために停車する」という概念が無かった。渡りたそうにしている歩行者の為に停止すると後ろからブーブーならされるものだから、歩行者がまだ歩道の上にいる時は、絶対に速度を緩めない、のが普通だった。消えかけの横断歩道が綺麗に塗り替えられ、街中にお巡りさんが増えた。この国の交通法では、歩行者がいつでも第一に優先される為、歩行者を見ると停車する車が多くなり、後ろの車も怒らなくなった。つまり、「普通」になったのである。ちなみにこの国で、優先順位は、歩行者 ≫ 路面電車 ≫ 残りの全ての車両、である。「残りの全て」には、乗用車、タクシー、バス、二輪がひっくるめられており、日本のように、バスやタクシー、大型車に優先権は無い。

話を戻すが、運転している側にとって、横断中の歩行者の歩幅を計算して、速度を必要以上に緩めずに、歩行者が車の前を通り過ぎた頃にちょうど後ろを通れるようにして近づくと、突然道端で立ち止まる人達が、イタリア人の中にも出てきた。そこでこちらも急停車を余儀なくするようになり、当然後列車もしばらく停止…。つまり、街なかで渋滞が増えた。そういう時は、歩行者は絶対に立ち止まらずに、ずんずん歩いていただくのがそれまでの常識であったのだが。

世代も代わり、排気ガス規制も厳しくなったので新車だらけ、速度も上がり、ゆるゆる運転でも渋滞することが無かった頃が、懐かしい。

一見無茶苦茶な交通事情、実はこの街の風物詩でもあった。

材料
スパゲティ 400g
アンチョビ 半身2枚
バター 50g
パセリ微塵切り 少々
ペコリーノチーズすりおろし 大さじ1

作り方
1. 大きめのサラダボールに、バターを細かく切って散らしておき、5mm角程にちぎったアンチョビ、パセリ微塵切りを入れておく。
2. スパゲティを茹で、ザルに空けてよく湯を切ったら、茹で上がりの1分前にマグ1杯とっておいたゆで汁を少しずつ加えながら、下からよく混ぜて滑らかに絡める。
3. ペコリーノチーズをふりかけ、さらに良く絡めて出来上がり。

素材の質が命のレシピなので、アンチョビはケチって安物を選ばず、特にバターは新鮮なものを使いたい。ペコリーノチーズは、コクを出すためのものなので、無ければしょうがない。パルメザンの代用は避けること。
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by Tomato-no-naru-ki | 2012-09-15 16:18 | そんなアホな。


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